青髭食堂。(here and there #16)

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2006-09-25

今年十四の彼女は毎日が退屈に思えて仕方がなくて。

誰彼かまわず 「面白いこと 知らない?」なんて聞いては 「ふうん ソレ あんまり面白くなさそう」 と 落胆させられたって顔をして 期待を裏切られたって顔をして 溜め息を一つ 吐くのです。

いつもそんな調子だから友達もできなくて 遊び仲間とかもなくて 一人遊びも苦手な彼女は ますます毎日が退屈で。 

「きっと私は聖書に出てくる山羊みたく あまねく罪のかわりに 世の中の退屈ってヤツを背負わせられているのだわ きっと」

なんてことをもっともらしく独り語ち かわり映えのしない毎日 つまらない顔して過ごしていたのでありますが。

ある日の放課後 彼女 何とはなしの気紛れで 遠回りして帰ったときに迷い込んだ廃工場 埃をかぶって壊れた機械の後ろにて 妙なものを見つけます。

一見 ズタボロの皮袋 メロンみたいに網目走って 桃茶色でグンニョリしてる 拡げてみると 向こうが透けるくらいに薄っぺらで 何箇所か穴があいてて この空いている穴の場所は もしかしたらアレか。

彼女 その皮袋状 頭にスッポリ被り ひび割れたガラス窓 自分の顔を映してみたらば

「うわああ!」

なんて 自分でもビックリするくらいにグロテスクな 禍禍しくて忌忌しい 真に迫った怪物顔、この皮袋状 とんでもなく精巧な 化け物のマスクでありました。

「へえ すごいなあ コレ つけてたら みんなビックリするだろうなあ きっと 面白いにちがいないわねえ」

なんて ピッタリ肌にすいついたマスク ニヤニヤ笑顔の彼女の表情も薄い皮越しで こんな邪悪で凶悪で極悪な笑顔 見たことない。

「ふふ いいもの見つけちゃった 誰の落し物だかしらないけれど こんなところに置きっぱなしってことは いらないってことなのよ」

と 彼女 さっきまでマスクの置いてあったトコロ ちょいと見やると 折りたたまれた一枚の紙。

なんだろう と開いて見ますれば 走り書きのメモと 何処かの地図。




毎 週 土 曜 日  午 後 8 時  仮 面 パ ー テ ィ

   所 :  LA BERBE BLEUE
 
           参 加 は 無 料




「仮面パーティ? もしかしたら こんなマスクを被った人達がたくさん来るってこと? 『LA BERBE BLEUE』 ってのは どっかのお店で この地図は そこへの道案内って訳ね。 面白そうじゃない 参加は無料ってのも気が利いてるし」

ふふん と彼女 マスクを外すと そのメモと一緒に鞄へ突っ込み ウキウキ気分で廃工場を抜け出し帰宅したのでありました。

 

その週の土曜日 夕刻過ぎ 彼女 地図を片手に町の繁華街 細い路地に足を踏み入れます。

一度も通ったことない路地 見たこともない細い路地 ずいずい辿って別の路地へ そんな調子で路地から路地へと 迷路みたいな街の裏側 歩き続けて。

挙げ句の果てに辿り着いたは 路地の突き当たり 右も左も行き止まり 何処へも行き様がない 人生の終着駅みたいな場所に建っている 古めかしい小さなレストラン 薄ぼんやりした灯りの下 『LA BERBE BLEUE』 と看板があり ああ やっと着いた。

着いたはいいものの どうすればいいのか分からなくて とりあえず あのマスクを被り レストランのドアを開こうか開くまいか躊躇しているとです。

「あなたも 今日の集まりの参加者ですか?」

と 後ろから声をかけられて 振りかえり見れば 彼女の気持ち悪いマスクと同じ顔した男の人がいて あんまりの気色悪さに絶句後数拍 かろうじて 「え あ はい そうです」 なんて間抜けな返答してしまい。

「どうしたんです まだ パーティにはちょっと早いようですが」

「え っと 参加したてで まだ勝手がよくわからなくて」

「ほう 新人さんですか なら 私が教えて差し上げましょう さあ とりあえず店の中に入って」

案内された店の中 照明はランプだけの結構暗い チラチラ揺れるランプの明かりに銀器やグラスもキラキラひかり 肉の焼ける匂いも香ばしく デキャンタに充ちたワインも黒々していて艶かしくて とても素敵な雰囲気です。

「ここは ある種の秘密クラブです。 いつもと同じ食事には、もう飽き飽きだ! でも 同じ物しか食べざるを得ない私やあなたなどの為 週に一度 いつもとは違う雰囲気で食事をしよう ってな集まりです 毎回 趣向を凝らした演出があるのですが 今週のお楽しみは アレのようですね」

と 彼が指差したのは 店の中央 大きな卓の上 これまた大きな銀皿 銀色の蓋を被せられていて

「会が始まるまで 中身は秘密です 楽しみにしていてください ああ みんな 集まってきましたね そろそろ 会が始まります 美味しい食事を楽しみましょう。 準備をしておいてくださいね」

だなんて云われても 彼女 なんの準備か知らないし まわりを見渡せば 彼女のマスクと同じ顔 顔 顔。 吐き気がするほど醜悪なご面相も これだけ集まりゃ一種の壮観ですらあります。

そういやあ 仮面パーティって云ってたけれど このマスクを被ったまま どうやって食事するんだろう って彼女 思ったけれど まあ 他の人がどうやってるか見て真似すればいいや。


そうこうしているうちに ホストと思わしき燕尾服の男 場の真ん中に立ち コホンと咳払い。 

「それでは ただいまより 仮面パーティを開催いたします みなさま ご自分のマスクをお着けください」

すると 彼女を除いた全員 懐から肌色の袋状を取り出すと 頭からスッポリ被って 男女様々な人間の顔になり

え ええ?! と 廻りを見渡す彼女

店の中央 大卓 銀色の蓋の中から 「う …う」 と小さな呻き声が聞こえる 
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