沼人村のこと。

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2006-07-01

『もしも血縁とか縁故とか因縁とか家柄とか 友達関係とか婚姻関係とか仕事関係とかの 自分を縛して鎖す諸々から解き放たれて 自由になれたら僕は 何処にでもいける』 なんて思っていないか君は。

課せられた義務とか責任とか成果とかは知らないし 自分の好き勝手に生きていたい とか思っているんだろう君は。

そんな諸々から解き放たれて自由自在に動ける人ってのは 自身に原動機と推進器と舵機を持ってる人なのでありまして それらを持ってない君は 解き放たれたところで何処にも行けない。

むしろ解き放たれた後 君が自分を縛していると思い込んでいた血縁とか縁故とか因縁とかが 本当は自分を牽引してくれていたということに 自分はそれに縋ってしか動けなかった ということに気付くかもしれない。

気付いたところで遅すぎる 君は 自ら手放してしまったのでありますから もはや 流れ流され漂って 沈まないようにするのが精一杯。

流れて流れて漂って ついに行き着いたる最終地点 此処に来たならもう何処にも行けぬ 後はもう沈むだけであります。


力尽きて沈んで底なしの底の底 其処にぽっかり開いた入り口の先が 沼人村と呼ばれる集落です。


集落の真ん中 緑色の沼があり ソレを囲むように集落が広がっています。


そこに住んでいるのは みんな 君と似たり寄ったりの人間で 君にとっても割りと居心地もいいはずです。


空き家もいくつかあるでしょう 空き家に勝手に住み着いても 誰にも文句は云われません。

ただ それぞれの家には『首くくり屋敷』や『血みどろの館』とか『白蛆の家』なんていう異名があります。 その異名の由来については 誰も口に出しません。 前に住んでいた住人がどうなったのかも 教えてくれません。


狭い集落ですから 働き先も あまりありません。

けれども収入の心配はありません 月に一度 仕事を探す振りをするだけで一月暮らすのに最低限の収入が得られるシステムです。


食べるものも いろいろあります。

村で唯一のお惣菜屋さん 夕暮れマートです。 このお惣菜屋さんの周りはいつも夕暮れ時で おかげでいつもタイムサービス中です。 100円引きや半額のお惣菜ばかりなので 格安で手に入れることが出来るでしょう。

が 使い古された油で揚げられた 揚げ物ばかりです。 肉や魚の揚げ物ですが 魚は沼で採れた得体の知れない魚 肉にいたっては何の動物の肉か正体不明です。 けれども揚げてしまえばみんな同じ味です ソースをドボドボかけて食べましょう。 毎日食べ続けると 皮膚にボツボツが出てきますが気にしてはいけません。


この村の空気には 独特の匂いがあるでしょう。 コンクリートの地面に雨が降ってきた時の匂いに近いでしょう。

沼から沸き出る瘴気が空気に溶け込んで こんな匂いになるのです。

この匂いの成分には ある種の効果がありましてね。 心の働きを一部麻痺させるのです。

たとえば 昼から惰眠を貪ってみたり 一日中ソリティアやフリーセルに熱中してしまったり そんな普通ならやってしまった後 『限られた時間を無駄に過ごしてしまった』とため息を吐くところでありますが そんな 『時間を無駄に過ごしてしまった』と感じる部分を麻痺させるのです だから平気 どんなに傍目からはダメな一日の過ごし方をしたとしても 自分だけは平気なのです。


この沼には色んな生き物がいます。 この 周りを飛び回っている羽虫も 普段は沼にいます。

この羽虫の羽は特殊な構造をしていまして 羽ばたきする音に耳を澄ませて御覧なさい 人がこそこそ話してるように聞こえるでしょう。

この羽虫は 人が寝てるときに 耳の中に卵を産み付けます 耳の中で孵った羽虫は 耳の中でそっと羽ばたきます。 周りに誰もいないのに 誰かが自分のことについてヒソヒソ話してるような気がするのは この羽虫の仕業です なあに そのうち慣れますよ 人体に害はない。


この村の住人と 仲良くしないほうがいいでしょう。

表向きは 君を受け入れているそぶりをするでしょう。 けれども この村の住民は総じて 人を嫌いなのです 人を憎んでいるのです。

自分以外のすべての人に敵意を持っています。 自分以外のすべての人が自分に敵意を持っていると感じています。

いつだって周りの人間の嫌な部分が目に付いて さらにはその嫌な部分ってのが自分自身にも当てはまって自己嫌悪に陥って 自分のことを嫌いな自分ってのがもっと嫌いで ああ どんどん悪循環です。

けれども 表向きは笑顔を絶やさない人ばかりなので 安心してください その笑顔は あんまり笑いなれていない人のする笑顔だけれども。


さて ほかにも色んな場所が この村にはありますが それはこの村の住人になってからお教えしましょう どうです 僕は 君がこの村の住人になることを 表向きは歓迎するよ。



と 彼は あんまり笑いなれていない人の浮かべる笑顔で 沼の水とそっくり同じ目の色をして 僕に云いました。

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Comment

まや : 2006-07-03(Mon) 22:27 URL edit
なによりどきりとしたのはタイトルでした。
あー、そのまま「おしまい」とか書かれていなくて良かった。
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