饗食≒饕餮

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2006-06-09

インド帰りの久冨さんは日本に戻ってからと云うモノ働くことをすっかりやめてしまい いまじゃ近所の河原の橋の下 テントを構えて日がな一日魚を釣ったり古いギターをボロロンボロロン弾いたりしながら暮らしています。

僕 ひょんな事から久冨さんと仲良くなり チョクチョク彼の住む橋の下に遊びに行くような間柄になったのでありますが。

その久冨さんから「もてなしてあげるから食事なんてどうだね」とのお誘いがありまして。 まあアレですよ 半ば浮浪者というか巡回探食労働者というような有様の久富さんでありますから そんな期待はせずにお邪魔いたしました。

「やあ きたね」

と 久冨さん 野ざらしの丸太に腰掛け フサフサした黄色と黒の毛状を二つ 手で弄びつつ。

ご馳走になりにきましたよ 今日は何処かの店に食べに行くんですか それとも久富さんの手料理で?

「いや どちらでもないよ」

どちらでもないって じゃあどうやって食事するんです ご馳走してくれるんじゃないんですかい?

「うん 実はアレだ 俺 二度と食べるのには困らなくなったんだ これのおかげでな」

なんすかソレ

「こないだ中国の奥の方にブラリ行った時 手に入れた。 於兎帽っていう帽子だよ」

おとぼう?

「この帽子を被るとだ 野や山や町 自身の行くところ全てに食べ物が溢れる。もちろん食べ放題だ お金の心配もないぞ」

へえ すごいですね

「ちょうど二つ手に入れることが出来たから 佐々木(仮名)君にもこの黄金体験を味合わせてあげようと思ってね」

やあ それはありがたいのですが ソレ 本当の話ですか まるで御伽噺じゃあないですか

「もちろん本当だ 中国での旅行中の食事はこれで間に合わせた。美味い食べ物ばかりで旅行中に3kgも太っちゃったよ。 まあ日本に戻ってからはまだ使ってないけれども」

ふむ それじゃあ信じましょうか

「なら早速出掛けようか 佐々木(仮名)君 そこの物陰に隠れてから この帽子を被ってくれたまえ」

え なんでです?

「使用上の注意だよ。 この帽子を被るときと脱ぐときは 他の誰かに見られちゃいけないことになっているから」

え じゃあわかりました あっちの木陰で僕 帽子被りますんで 準備できたら呼んでください

僕 久冨さんから手渡された毛帽子片手に向こうの木陰。 帽子を裏表に矯めつ眇めつ眺めてからパイルダーオン 被った瞬間 なんかヘンです 急に鼓膜に圧がかかって耳が遠くなった感じ 光が灰色に暗くて視野が狭まり けれども嗅覚だけはいやに鋭くて うわ なんだか美味しそうな匂いがしてきたぞ それに 猛烈にお腹が空いてきた

『おーい 佐々木(仮名)君 準備はいいかね』

あ いいですよ えっと どうすりゃいいんです?

『なあに いい匂いのするほうに行けば 食べ物があるって寸法さ じゃあ行こうか』

久冨さんと並んで二人 行く道すがら こりゃあ凄い 豚の丸焼きやら分厚いステーキやらのご馳走が たくさん漂っていて 久富さん これ全部食べてもいいんですかい?

『ああ 食べ放題だよ さあ 一つ食べてみるがいい』

じゃあ遠慮なく。 もしゃり うめえ。

『どんどん食べるといい アレもコレも選り取りみどりだ すべてがおかずとして立ち上がってくるだろう』

うん まるでちょっとした満漢全席コースですな

などと 歩きながらの暴飲暴食は楽しいなあ おや久富さん あそこの公園 たくさんの食べ物で バイキングみたいになってますよ

『ほう いいね 上等上等 一緒に食べ尽くそうか』

不思議なことに どんだけ食べてもお腹が一杯になるってことはなく頗る快調 思う存分堪能したってわけですよ

『じゃあ佐々木(仮名)君 そろそろ戻ろうか』

え まだ食べたりないですよ

『使用上の注意 2。 一時間以上 この帽子を被らないこと。 なんだか知らないけれども『元に戻れなくなる』らしいからね』

それじゃあ仕方がない。

また二人して来た道を逆戻り 久冨さんのテントが張ってある橋の下。また僕が物陰に隠れて 帽子を脱いで 遠かった耳も狭まった視野も鋭くなった嗅覚も元通り。 あるのは確かな満腹感です。 もう食べれないよ

「どうだった 佐々木(仮名)君?」

いやあ 今日はどうもありがとうございます。 最近ろくなものを食べてなかったので助かりましたよ

「ははは んじゃあ また呼ぶから そん時にまた」

ぜひ 望むところです。 じゃあ また今度。

久冨さんと別れて帰り道 おや なんだか変だぞ やけに騒々しい。

ピーポーピーポー パトカーが行ったり来たりしていて やあ 働くクルマがたくさんいるなあ なんて思いつつ歩いていると そのうちの一台が僕の真横で急停車

うわあ な なんですか

「君ィ! 危ないから出歩いちゃいけない!」

と出てきたポリスが息せき切って。 え 危ないって なんですか

「まだこの近辺を 凶暴な動物がうろついてるかもしれないから!」

ポリスの云うことには どこからか現われた虎が二頭 道行く人々を手あたり次第に食い殺したそうです 特に 近くの児童公園では 遊んでいた子供たちが根こそぎやられたらしく まさに血みどろの地獄絵図。

虎二頭はその後 煙をかき消すように居なくなって行方知れずだそうですが まだまだこの地域じゃあ警戒が必要とのことで 僕 パトカーで自宅まで送ってもらいました。

まったく 物騒な世の中ですよ 剣呑剣呑。
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Comment

名状しがたきもの : 2006-06-10(Sat) 20:03 URL edit
やったぁ! 久しぶりの 久富さんだ!
名状しがたきもの : 2006-06-11(Sun) 19:58 URL edit
ちょっと綺麗ですね。
街中の虎って
零崎 : 2006-06-12(Mon) 14:29 URL edit
いーちゃんの「剣呑」て・・・使い方違うよね・・・。
おう : 2006-06-16(Fri) 03:51 URL edit
トウテツ ですね。こわいこわい。
名状しがたきもの : 2006-06-28(Wed) 22:43 URL edit
>すべてがおかずとして立ち上がってくるだろう
もしかするとあのネタですかね?
このワザとらしい佐々木味w
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