猿垣蟹。

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2008-12-08

「さるかに合戦 今読むと 奥深いと心底思う。 なにしろ 柿と蟹がでてくるんですよ?」

 え こんなときに 何ですか 童話のさるかに合戦のことですか 猿と蟹と臼と蜂と栗と牛糞の出てくる?

「そう。 そういやあ あなた 前に『猿蟹合戦で栗や牛糞 無生物であるところの臼にまで人格が与えられているのに それじゃあ柿の立場は』 的なことを云っていましたよね」

 云ってました。 オカシイじゃないですか 柿にも人権を! そして僕にも救済を!

「あなたが救われるわけないじゃない そして 柿に人権なんかあるわけないじゃない。 この話における 柿 は 登場人物ではなく 装置として機能しているので 人格があったらかえって変なことになります」

 なんですか その装置として機能って

「んーっと じゃあ 猿蟹合戦の概略っての 云ってみてくださいよ」

 えっと。 
 
 猿が柿の種を見つけます。
 蟹がオニギリを持っているのをみて『将来柿の実がたくさん成るからコッチのほうが得』と交換してもらいます。
 蟹は柿の種をハサミで脅して大きく育て柿の実を成らせます。
 猿がやってきて『代わりに柿の実を取ってやろう』と木に上り 熟れた柿を独り ムシャムシャと食べます。
 蟹が自分にもくれ と云いますが 猿はあげません。 それでも蟹が云うので これでも食らえと 青い柿を蟹にぶつけます。
 硬く青い柿に甲羅を潰されて蟹は死にます。
 死んだ蟹から子蟹が生まれ 猿に復讐しようとします。
 栗と蜂と牛糞と臼が仲間になります。
 仲間は猿の家に潜み 帰ってきた猿をピタゴラスイッチ的に追い詰めて 最後には殺します。
 子蟹は親蟹の仇を討てました めでたしめでたし。
 
 って内容ですよね 因果応報を主題とした日本五大昔話の一つ ということで憶えていますが。 

「最近は蟹が死ななかったり猿が死ななかったりっていう生ぬるい内容で子供に話されてるらしいけれどね。 そんなの 毒にも薬にもならない駄菓子の如き昔話よ 教訓なんてあったものじゃない。 んで あんたがさっき云った 因果応報を主題とした ってヤツだけれども 猿蟹合戦 穿って見ると 存外に奥が深いわよ 色んな要素が交じってる。 ある一点に注目すると 主題が因果応報だけじゃないってことがわかるよ」

 ある一点?

「まず 最重要なのが 柿。 あんたのことだから 柿じゃなくても蜜柑とか別の果樹でも良いのでは? とか考えてるんでしょ この莫迦オロカめ。 この話は 柿でなければいけないのです」

 え なんでですか

「話の中に『はやく芽を出せ柿の種 出さぬとハサミでちょん切るぞ』ってあるでしょ。 あれは 成木責めっていう正統な呪術なのよ。 小正月に柿の木にちょっと傷をつけて 一人が『成るか成らぬか成らぬと伐るぞ』と鉈で脅した後 柿の木役の人が『成ります成ります』と応え その柿の木の傷に小豆粥をかける って行事。 一年の最初にその年の豊作を促す呪術な訳です。 小正月っていう歳の移り変わりの時に行われるので 歳の神との関係もあるかも知れません 歳の神は賽の神であります つまり あっちとこっちの境目ですね。 柿も同じく 境 を象徴しています」

 柿が境ですって?

「『柿の木から落ちると死ぬ』という俗説があります。 これは 柿の木の枝が折れやすいから登ると危険 ということの他に 柿の木はあの世とこの世の境だから怪我するとあの世に引っ張られる ということだと思います。 昔は火葬の時の燃料に柿の木を使ったそうですから よりアッチとコッチを結ぶものと意識されていたんでしょう。 あと 柿は『垣』とも結べます 境界を別け隔てる垣根です。 他にも柿本人麻呂でお馴染みの柿本氏も古代葬送儀礼を専門に担っていた なんて説もあるとかないとか。 青い柿の実をぶつけられて死んだ蟹から子蟹が生まれるってのも アッチとコッチの橋渡し的役割をあらわしているのかもしれません。 などなど さまざまな事から 柿=境界 であることを示しているのですよ アッチとコッチ あの世とこの世 彼岸と此岸 の境目です だから 柿には人格が与えられていないのですよ」

 ふうん。 じゃあ オニギリに人格が与えられていないのにも理由があるんですか?

「そうですねえ オニギリ つまりは米ってことですが それは富の象徴性であるから 人格は与えられていません。 さて 次に 蟹 です。 蟹ってのは水辺と陸地の両方を行き来することから 越境者という面があります。 アチラからコチラに富をもたらす者 もしくはコチラのモノをアチラに引きずり込む者 ってことですね 賢淵の水蜘蛛も 蟹と云えます。 どっかの宗教においては『死の眠り 生死の循環における生と生の間の期間 誕生から次の誕生への再生』の象徴でもありますね。 これに対して 猿 は 境のこちら側にいる 目先の欲を追う愚者 という位置づけでしょうか。 さて これらの点に注意して もう一度 猿蟹合戦を解いてみましょう。

 最初に猿が柿の種を持っています。 これはわらしべ長者のワラシベと同じく富へと導く呪具であったと思うのですが ここで猿はあっさり柿の種を 境界の者である蟹の持つオニギリと取り替えて食べてしまいます。 ここでトレードは終了 猿の持分は使い切ってしまいました。 けれども欲深な猿は 更に先を望みます。 自分自身で柿の種を植えていたら手に入ったであろうモノを けれども最早手に入れられないモノを。 猿は蟹から柿を奪い 更には蟹を殺してしまいます。 これはいうなれば アチラ側からの富の強奪です 泉の精を倒して金と銀と鉄の斧を全て手に入れるが如き蛮行です 前例なき暴挙です ここで重大なルール違反が行われたのです。

 ルール違反には罰が適用されます。 この場面で 栗と蜂と牛糞と臼が登場します。 唐突すぎると思いませんか? 縁もゆかりもない彼等が 何故 子蟹の味方をしてくれるのか。 それは 彼等も 富を生み出す呪具であったり富へと導く先触れ道標であるからです。 『米福粟福』で栗は山姥までの道標となり『夢の蜂』で蜂は宝の場所を教え『塩吹き臼』では無尽蔵の富を臼が挽きだします 牛糞と黄金の関係はイワズモガナですね。 彼等は 境のモノが 正直者や親切な者に福や富を授ける為の呪具 つまりは蟹の持ち物であったのではないでしょうか 本来福を齎すソレラの呪具で禍を齎す というのが重要です。 この話の主題は子蟹による猿への仇討ち 因果応報 ではなく 規則を破ったものに対する刑罰の執行 なのです。 さて 今まで長々と お話してきたのでありますが この意味がお解かりになりましたか?」

 いやあ 頭の悪い僕には さっぱりわかりません。 さっぱりわかりませんから そろそろ僕を 解放してはくれませんか ねえ

「ルールを破ったものにはソレ相応の報いが必要ってことですよ こんな駄菓子みたいな教訓なんか 可笑しすぎて困っちゃうでしょう?」

駄菓子だけに おかしい ふふふ

「おかしくない。 こちらとしては あなたの仕出かしたことは 笑い事じゃない 一歩間違えば 組織全体が迷惑を蒙ることになった 故に あなたは責任を取らなければならない それこそ 猿蟹合戦の猿のように」

 あ ああ やめて下さい その ビー玉を転がすのはやめて下さい 転がったビー球がレールに乗ってミニカーにぶつかったり滑車を動かしたりして最終的には5人のガチムチ兄貴が僕を死ぬまで性的にどうにかするような ピタゴラスイッチ的なものを動かすのは やめて下さい やめ やッ 
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Comment

名状しがたきもの : 2008-12-08(Mon) 19:29 URL edit
ガチムチ兄貴も装置の一部なのか……
名状しがたきもの : 2008-12-08(Mon) 21:23 URL edit
すごく真実っぽい。
名状しがたきもの : 2008-12-09(Tue) 16:54 URL edit
5人も…
: 2008-12-10(Wed) 11:44 URL edit
最近ゲイゲイしい話が多い気ガスw
まあ好みですけど(〃∀〃)
名状しがたきもの : 2008-12-17(Wed) 16:04 URL edit
非常に好みです
名状しがたきもの : 2008-12-19(Fri) 09:39 URL edit
毎回素で感心するのに毎回オチで吹く
どんな複雑怪奇な装置ですかw
アマ : 2008-12-24(Wed) 14:28 URL edit
メリークリスマス
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