なかきよ。

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2006-01-19

僕には双子の兄がいて 事ある毎に僕を困らせてくれる厄介者の兄がいて いつも面倒な目にあっているのでありますが。

そんな兄が 年明け前に云った事を思い出しました。


「おい 『なかきよ』って知ってるか?」

もちろん知ってますよ。 『ながきよの とおのねぶりの みなめざめ なみのりぶねの おとのよきかな』 ですよね。 それを書いた紙を帆掛け舟に折って枕の下に入れて寝るといい初夢が見られるってヤツですな。

「ふん どうせお前のことだ。 なんかの少女小説からの受け売りなのだろうが」

そ そんなことないですよ!

「まあいい。 その 帆掛け舟に折るってのは知らないが 七福神の乗った宝船の絵に『なかきよ』の歌を書いて枕の下に敷いて寝ると良い夢が見れるってヤツだ。 正月の夜 宝船に去年一年の罪穢れを乗せて流して 正月二日にいい初夢を見ようってシステムなのだがな」

ええ?! 罪穢れを乗せて流す って そうなんですか?

「基本的には『雛流し』とか『ねぶり流し』と同じだ 知らなかったのか?」

えっと 宝船が いい夢を運んできてくれるから いい初夢が見れるものだと思っていたのですが

「これだから 無知蒙昧は困る。 いいか 宝船は 来るものを迎えるんじゃなく 行くものを送るモノだ 宝船に積まれている宝は お目出度い宝物 幸せをもたらすものなんかじゃくて それの逆 もっと禍々しい物だ 更に云うのなら 七福神も 福の神 なんかではない 怨霊の類だよ」

うええ そんなの いつもの兄さんの戯言寝言の類じゃないんですか?

「俺は本当のことしか云わんぞ?」

も もしそれが本当だとしても じゃあなんで その罪穢れを『宝』と言い換えたり 怨霊の類を『福の神』と称するんです? そのまま云えばいいじゃないですか

「それはアレだ よく 妖精は自分たちのことを『インプ』『エルフ』『フェアリー』と呼ばれるのを嫌うから『善いお隣さん』『正直な人』『祝福されたお方』って呼ばないと酷い目に遭わされるだろ。 それをそのままの名前で呼んだら いけないんだよ。 怨霊を御霊に祀りあげて祟りを鎮めるのにも似てるかもな」

じゃ じゃあですよ その七福神が怨霊だってんなら 大黒さんも恵比寿さんも弁天さんも 全部由緒正しい神様じゃないですか それが怨霊だなんて 信じられませんが?

「大黒はもともと地獄の王様だし恵比寿ももとは畸形胎児の水死体だ 弁天も蛇だし 出所を辿れば そんなお目出度いものでもない。 七福神とキリスト教の七つの大罪とを対応させることも考えたけれども 今は関係ないので割愛する」

それじゃあ 宝船じゃなくて お化け舟じゃないですか

「お化け舟? ああ 折り紙の だまし舟か。 お化け舟ってのも云いえて妙だな 鳥山石燕の百鬼徒然袋を知ってるか? 江戸時代の画家が描いた妖怪絵で 僕の考えた悪魔超人帳的なものなんだけれど その妖怪満載の本の最初と最後が 宝船 ってのもいい感じだろ。 まあそれはそれとしてだ 本題に入る。 『なかきよ』の意味が解ったんだよ」

『なかきよ』 の 意味?

「そうだ 今俺が云ったように 罪穢れ怨霊妖怪満載のお化け舟に なぜ 『なかきよ』の歌を書くのか それの理由だ」

で どういう理由ですか

「『ながきよの とおのねぶりの みなめざめ なみのりぶねの おとのよきかな』ってのは 上から読んでも下から読んでも同じ 回文ってのは分かるよな」

え ええ そりゃあ

「なぜ 回文にする? それは呪文だからだよ。 封じ込めて逃がさずに そのまま沖に流すためのな」

でも 呪文だったら 普通にお経とか真言とか書けばいいんじゃないんですか?

「お経や真言は 逆唱えしたら破られる。 だから 逆から読んでも破られない回文にする必要があったんだ」

な なんだってー

「なんだ ずいぶん棒読みじゃないか。面白くなかったか?」

や えっと 面白かったですよ でも それがなんだって云うんです? わざわざ 年末の小忙しいこの時期に 僕に仕事を無理やり休ませて呼び出して 聞かせるような話ですか?

「まあ待て この話にはまだ続きがある」

続き?

「この 魑魅魍魎悪鬼羅刹どもを封じる『なかきよ』の回文を 回文じゃなくしたら どうなると思う?」

どうなるって どうなるんです?

「ふふん。 この回文を ある方法で破綻させるすべを 思いついたんだよ。 俺の想像が正しければ とんでもないことになるぞ?! 電子ジャーにヒビが入ってるのに魔封波だぞ?!」

天津飯じゃないんですから

「そこでお前に頼みがある。次の正月 実験台に」

絶対いやです やるんなら兄さんが自分でやればいいじゃないですか もう付き合いきれない

「ちょッッ まてって」

と 僕 踵を返すと兄の入院している癲狂院から足早に立ち去ったのでありましたが。



さて 年明けて正月二日の朝 兄が病室のベッドから忽然と姿を消して以降現在消息不明なことと 今思い出した話との関係はまるでないと思われるのですが 

失踪した兄の 枕の下には びりびりに裂けた帆掛け舟の残骸。
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Comment

サヤキ : 2008-11-06(Thu) 09:14 URL edit
面白いですね。yahooからきました。足跡させて頂きました。
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