2008-01-09
近隣に住む友人宅へ遊びにいきました。
「ようし 今日は夜通し酒盛りだ」 と 買い出しに出かけ 友人宅の近所の酒屋へ 近道ってことで案内された小道を辿っていると 不意に彼 立ち止まって云いました。
「この町には 後ろを振向いてはいけないって場所が数ヶ所あって ここもその一つなんだ」
と 彼が指差したのは 上を鉄道が通る陸橋 その下を潜る小道 5メートルにも満たない長さのトンネル状 入り口の横 ところどころに錆びついた黄色い看板 奇妙なフォントでデカデカと。
トンネル内 振り返るべからず
「この看板の通りさ 振り返ったら 何が起きるか知れない。 とりあえず ここで 振り返ったことがある人は いないことになってる らしい」
いないことになってる らしい ってことは 本当はいるってことですか?
「以前 トンネルの中で振り返ったらどうなるか 実験して見たことがあった ようなことを思い出した」
で どうでした?
「オレが今 普通にこうしているってことは まあ そんなおかしなことは起きなかったんだろうなあ」
なんにも起きなかったんですか
「いや 何かが起きたんだ オレが 前を歩く アイツに ここの事をなんにも教えていない状態で こう 肩を掴んで グルリとコッチを振向かせたら あれ アイツって 誰だっけ」
や そんなの知りませんよ 誰ですかアイツって
「まあいいや さっさとこんなトンネル 通り抜けて 酒を買おうぜ」
ああ おっと 靴紐が緩んでいる 先に行ってくれたまえ
「おう」
彼 歩き出し トンネル半ば さしかかった所で 僕 忍び足で彼の背後に追いついて
さっき聞いた話を おもしろ半分に試してみよう と 彼の両肩 掴んでグルリ
あはは 驚いたかい? どうだい 振り返ってみた感想は?
などと トンネル内 乱反響する僕の笑い声 ひとしきり笑って気が付いた
僕は 一人で 何をしているんだろう
こんなトンネルのなかで 一人して笑っているなんて。
こんなトンネル あ ああ 思い出した ここは どこかで聞いたことが誰かにある 振り返ってはいけないトンネル。
トンネルの中で 振り返ると 何かが起きる でも それを確かめた人は いないことになってる という。
こんな薄気味悪いトンネル どうして僕は一人で歩いているんだろう と そそくさと抜けでると 自宅に帰った。
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