ししびとさま。

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2007-12-17

 久しぶりに 僕を訪ねてきた 僕の双子の兄でありましたが。 兄さん なんで生きてるんです?
 
「久しぶりだってのに ずいぶんなご挨拶だなあ。 まあいい。 お前に土産話 ちょいと遠くをさ迷い歩いたときの事を話してやろう」

 また 施設を脱走してたんですか。

「行き当たりばったりでさ迷い歩いて お腹が空いたら見知らぬ人からオニギリを貰って食べ そのお礼に貼り絵を作って贈ったり なんてことをしてるうちに どんどん知らない土地に足が向いてしまい 気がついたら何処かの奥深い山の中だ」

 そのまま 遭難してしまえばよかったのに。

「迷って惑って途方に暮れて それでも藪の中をぐいぐい盲滅法進んでいると 急に開けたトコロにでたんだ。 んで 綺麗な娘さんと出会った。 『山からいらしたんなら あなたはシシビトさまです』なんて 彼女の家に招待してくれて もてなしてくれたんだよ」

 なんですか シシビトさま って

「さあ? ライオンのように勇敢な人 ってことじゃないか?」

 意気地なしの兄さんには 似つかわしくなくて 縁遠い言葉じゃないですか

「ぐッ……まあいい。 彼女は その集落のオサの娘さんの内の一人で いろいろ教えてくれたよ そこが平家の落人の隠れ里みたいなところで 外とは断絶して 今では30人くらいの身内しかいないような集落だとか。 狭くて見たところ田畑もないようで わりと貧しそうな集落なのだけれども 俺の名前や素性も聞かず 俺に至れり尽くせりの大奉仕だよ。 山の幸をたらふくご馳走してくれて さらにはお風呂にまで入れてくれてな ふひひひひ」

 なんですか兄さん その生理的に気色悪い笑いは。

「いや な。 なんと その娘さんが 『お背中お流しいたします』って 全裸で入って来たわけさ。 俺も据え膳食わぬは何とやら ってことで 背中を流してもらったのだけれども そしたらだよ! すごいぞ! いきなり その娘さんが 俺の裸体に舌を這わせてきたのだ! うひぃ! そんなトコロまで?! まさに天にも昇るドリーム心地を味わっているとだよ。 なんと 娘さんがもう一人全裸で参入だぜ。 どうやら 最初の娘の妹さんらしくてだなあ 『お姉さまだけズルイ』『あなただっていつもツマミ食いしてるじゃない』なんて 姉妹して俺の取り合いだよ。 おいおい 俺の陰茎は一本しかないんだぜ? ってなぐあいで」

 馬鹿じゃないですか 兄さん

「このままじゃ 俺の身体が持たぬ と思ってな。 その晩姉妹二人を泥んこみたいになるまで可愛がったあとに トンズラしたわけさ。 俺が逃げたことに気付いた姉妹や村の衆が追いかけてきたけれども 途中でお地蔵様の真似をして難を逃れることができたよ」

 ずいぶんと裸の大将ネタを引っ張りますね

「なんとか里まで出た後 ちょいと非合法な手段で自動車を手に入れて ようやくお前の家までたどり着くことができた訳だ。 まあ なんで俺みたいな人間をもてなしてくれたか ってのは きっと 閉鎖的な集落で 近親婚の繰り返しで血が濃くなるのを防ぐために 外からの血を入れるために俺の子種が欲しかったりとか そんな意図での 至れり尽くせりだったのだろうとおもうけれども。 こっちの血肉が根こそぎ持ってかれるような そんな激しいことをされてしまったよ。 ものすごく頭が馬鹿になるぐらいに気持ちよかったが もう 疲れてしまって 今も身体が辛いよ」

 ふむ。 なんとなく見当がつきました。

「見当? なんのことだ」

 兄さんのことを 『シシビトさま』 と呼んだ理由ですよ。

「どんな理由だね」

 んっと どの本で読んだんだっけかなあ えーっと これ 山の民俗学的なのが書いてあるのなんですけれども。

「どんなことが書いてあるんだ?」

 ニホンカモシカ いるじゃないですか。 特別天然記念物の。 あれは別名 『アオジシ』『クラジシ』『シシウシ』『ニク』と呼ばれてきました。 兄さんの呼ばれた『シシビト』ってのは このカモシカの別名の『シシ』と関係があると思われます。

「んじゃあ 俺が呼ばれた『シシビトさま』ってのは ライオンみたいな人 じゃなくて 『カモシカみたいな人』 ってことか?」

 そうではありません。 この『シシ』ってのは 肉の古語です。 カモシカってのは元々狩猟されて食用にされてきた獣で 貴重なタンパク源でありますから 山=クラ にいる食べられる肉 ってことでクラジシとか呼ばれてきたようですね。 『シシ』ってのは 山からの恵みなのですよ。

「え つまりは どういうことだね」

 その隠れ里では 田畑も少ない上に 外との交流も無いようなのですよね 細々とした暮らしにおいて その食生活ってのは 山に依存したものになるでしょうね。 山から来たものは なんでも 山からの恵みと して ありがたく食べたのでしょうね

「いや 何を云ってるのか解らないなあ」

 兄さんに その人は『山からいらしたんなら あなたはシシビトさまです』と云ったんでしょう? 兄さんの名前とか素性は 一切聞かれなかったんでしょう? 兄さんを 『シシビト』という記号に位置づけたんでしょう? その時点で 兄さんは 兄さんという人間ではなく 『シシビト』という山から来た肉 と認識されたのです。

「いや まさか この時代に 人肉食 だなんて そんな未開的な いやいや まさか 信じられないな」

 論より証拠。 これを御覧なさい。

 と 僕 手鏡二枚を兄さんに渡し 自分の後ろ姿を見てみるよう 兄さんに促しました。

「あれ なんで俺 生きてるんだろう」

 兄さん さんざん あの姉妹にツマミ食いされたって云ったじゃないですか。 御覧なさいよ 兄さん 背中側の肉が丸ごと舐め盗られていて 骨が丸見えじゃないか。
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Comment

名状しがたきもの : 2007-12-17(Mon) 23:51 URL edit
まさか、毎回兄がぶっ殺される展開を逆手に取るとは。
憎い、佐々木さんが憎い!でも、好きなの・・・!
名状しがたきもの : 2007-12-18(Tue) 01:15 URL edit
もう兄さんはゾンビの域にまで達してしまったのですね。
名状しがたきもの : 2007-12-18(Tue) 08:08 URL edit
僕も食べられちゃいたいです><
名状しがたきもの : 2007-12-19(Wed) 16:22 URL edit
どこかで読んだことのある話みたいですね。
山の中で温泉に入ってたら女が入ってきて背中を流すと言う。
夢心地で気がつくと背中の肉が削ぎとられてた。みたいな。
何の本だったかなぁ。
名状しがたきもの : 2007-12-23(Sun) 08:20 URL edit
姿の見えない化物に背中を喰われるという夢を昔から繰り返し見続けている俺にとってガクブルな話です
マケイヌ : 2007-12-29(Sat) 05:36 URL edit
今ごろ村では食料(兄さん)に逃げられた為に壮絶な食物連鎖が・・・
名状しがたきもの : 2007-12-31(Mon) 11:11 URL edit
でも、お兄さんはセクロスできたんですよね………
名状しがたきもの : 2007-12-31(Mon) 23:18 URL edit
2回目に読んだ時に冒頭の『兄さん なんで生きてるんです?』にぞわぁぁっときた…。
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