そばすすり。

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2007-02-18

おまじない。

自分の小指と誰かの小指を結ぶ赤い糸を見るためには。

満月の夜 月が夜の真上に来たとき 強いお酒に浸したスミレの花を一輪 口にくわえましょう。

その後 横たえた鏡に月を映し ちょっとだけ切り傷をつけた小指の先から 鏡の中の月に 血を三滴 たらします。

滴る血が 粘って 途切れることなく まるで糸を伝うように 透明な糸を 血の赤で染めるように 流れて 一本の赤い糸状になったら大成功。

一晩のうちに あなたの小指から誰かの小指へと繋がる 赤い線が見えるようになるでしょう。



なんてオマジナイを誰かから聞いたので 悩んでいる彼に教えてあげました。

『もしかしたら 俺みたいな不細工は 一生独り身でいるしかないのかなあ』なんて 不細工な顔をより一層面白滑稽にひん曲げての困り顔 ああ 本当に可笑しいなあ。 大丈夫ですよ 君みたいな面白顔 一家に一つあったら気持ちが朗らかになろうというものだよ そんな物好きも 広いこの世の中に一人くらいは居るかもしれないよ。

だから その物好き極まりない ただ一人だけの誰かと 君が 赤い糸で結ばれているのなら その赤い糸を辿ってみてはどうかね。


先日 彼にオマジナイを教えてあげて 昨日の夜が丁度 満月。

必死な彼のことだから きっと実行したに違いない どれ 赤い糸は見えたのかな と 彼の住むアパートを訪ねます。

やあ どうかね オマジナイの効果の程は?

「おかげ様で 昨日の夜 やってみたところ この通り」

彼の小指の先 小さな切り傷から生えた 赤い糸 くねって伸びて 窓の外へと。

へえ 本当に赤い糸だねえ 触ってみてもいいかい うわ なんか生温かい それに なんか 脈動してないかい 血が 流れているんじゃないのかい

「手荒く扱わないでくれないか なんか 身体の中に直結してる感じがして 触られたりすると その感じが直接響く」

いやあ すまない。 で どうするね この赤い糸を 手繰ってみるかね?

「うん そうしたいのは山々なのだけれども どうも おかしいのだよ」

おかしいって 何がさね

「この 赤い糸の伸びる先 窓の外を見てみるがいいよ そしたら 分かる」

分かる? と 彼の小指から続く赤い糸 たどって 窓の外 伸びるは 延々と延々と 空の真上に向って。

「なんだろうね 僕の小指は 何処に住んでる誰の小指と 赤い糸で結ばれてるんだろう 空の上に 誰か人が住んでいる所ってものかね」

ラピュタは本当にあったんだ! いや なんでもないよ しかし何だね 空の上にいる相手じゃ 辿りようがないじゃないか もしかしたら 君の小指から伸びてる赤い糸は 誰かと繋がってるんじゃなくて どっかで途切れて どこかに引っかかってるんじゃないのかね 月の裏のクレータの亀裂とかに。

「うん でも 何度か手繰りよせてみたら 反応があったよ こう 引っ張ってみると ビビビビッ って 何か生きてるものと繋がってるって確かな感覚がしたよ」

ふうん。 ってことはだよ 向こうの 君と繋がっている何者かにも 君と赤い糸で繋がれているって実感があるのかね

「たぶん 向こうも この赤い糸の感覚があると思うよ 見えてもいるかもしれない。 現に この赤い糸を 手繰られている感じが 今 してる。 この赤い糸を辿って 向こうから こちら側にだんだん近づいてきてる 確かな感じ もう もしかしたら 割合近くに来てるかもしれない」

なんて云って 彼 近づいた窓際 開け放って 窓 身体を外に乗り出し 空 見上げた 瞬間。

「うわあ」

なんだね 間の抜けた声をあげて 何か見えたのかね

「あ あああ ぅあ ぁああ あ あああああ ああああ」

僕の問いに答えず 彼 上擦ったような変てこな声を上げ続けて。

どうした 気持ち悪い声を出さないでくれよ

「 あ ああ あ ぁ ぁあああ ぅあ あ ああ」

区切り 区切り 彼 変な声を上げ続けて。

一区切り 声を上げるたび ずるり ずるり ずるり ずるり。 妙な音も聞こえてきます。

「あぁあ」 ずるり 「ぁあうあ」 ずるり 「ぅああ」 ずるり 「ひぁああ」 ずるり。

声を上げるたびに 彼の身体が みるみる萎んで縮んで細くなり。

ああ これは 彼の身体の中から 赤い糸が 引っ張り出されているのだ。

「ぁいああ」 ずるり 「いああああ」 ず ずず 「ぃ  」 ずぷん。

彼が 最期の声を発すると 彼の身体から 赤い糸の端が スポンと抜けて スルスルと空に吸い上げられていって。

残されたのは 彼の抜け殻 最後の一肌だけでありました。
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Comment

名状しがたきもの : 2007-02-25(Sun) 16:15 URL edit
途中まで「ラピュタは本当にあったんだ!」にひきずられましたが、最後にぞくりときました。
独マサ : 2007-03-16(Fri) 13:36 URL edit
えぐい。ここまで気持ち悪く書いたのを、基本的によんだことがありません。
途中まで、わくわくが続きました。どんな展開になるのかと思いました。
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