2006-12-17
「ねえ こんな話 知ってる?」
と 彼女 唐突に話し始めました。
「キングコブラは世界最大の毒蛇で その大きさからもキングと呼ばれるに相応しいのだけれども それだけじゃないのよ キングと呼ばれるからには それだけじゃ足りないの。 ふふん その大きさ以外に キングコブラがキングと呼ばれる所以 それはねえ。 キングコブラは 他の蛇を主食としているの。 同族喰い 蛇喰い蛇 蛇の中の蛇 まさしく 王蛇と呼ばれるに相応しい性質だって思わない?」
僕 どうして彼女が こんなことを云うのか 理解できなくて。 なんて答えたらいいのか分からなくて 黙っている。
「ところが このキングコブラよりも更に上を行く蛇がいる としたら どうする? そうねえ キングコブラを王蛇 とするならば その蛇は 皇蛇 とでも呼ぶべきなのかしら」
彼女 黙っている僕の反応なんか 気にするでもなく 滔々と独り 語ちて。
「その皇蛇は キングコブラよりも大きいって訳でもなく キングコブラよりも強い毒をもってるって訳でもないの。 むしろ 毒なんか持ってなくて 大きさもほんと小さめ。 綺麗な薄桃色の肌が可愛らしくて 更に 賢くてやさしい気性で人畜無害。 生息数が少なくてあんまり見かけることもないけれど そうでなかったら愛玩動物として重用されるに違いないわ。 でも なんで そんな可愛らしい蛇が キングコブラの上を行く 王蛇を超える皇蛇なのかって云えばですよ この蛇は 蛇喰い蛇を喰う蛇 なのです」
蛇喰い蛇喰い蛇?
「蛇喰い蛇を主食とする 蛇喰い蛇である王蛇だけを主食とする まさに 皇蛇。 あ 今不思議に思ったんじゃない? 世界最大の毒蛇であるキングコブラを その 毒もない 大きくもない 人畜無害のちっぽけな小蛇が どうやって キングコブラを食べるんだろうって? ふふん 丸呑みにでもすると思った? そんな訳ないじゃないの。 じゃあ どうやってそのちっぽけな蛇が 自分の何倍もの大きさの蛇を食べるのか 教えてあげるよ」
別に 知りたくもないのだけれど 彼女 僕にはお構いなしに 話し続けます 僕が 彼女の声を止めようと必死なのに 構わず 話し続けます。
「皇蛇は キングコブラの 蛇喰いっていう食性を利用するのよ。 つまり 食べる前に 食べられるってこと。 キングコブラの前に現れた皇蛇は 何の抵抗もなく 無造作に キングコブラに丸呑みされるの」
止まれ! 停まれ! と なんどもグーで声のするあたりを叩きましたが 声は 止まりません。
「キングコブラに食べられた皇蛇は ゆっくりと食事を開始するのよ キングコブラの中で 内から キングコブラを食べ始めるの 長い長い時間をかけて たっぷり苦しみと痛みを味あわせながら 味わって 蛇喰い蛇を 中から食い殺すのよ これが 皇蛇と呼ばれる所以。 で 私が何を云いたいのか わかったよね」
うん 分かった。 君が何で モノを喋ることができるのか 僕に丸呑みにされた筈の君が なぜ生きているのか。
「そうね あなたも 勘違いしちゃったんでしょう? 自分が敵無しだなんて。 たしかに あなたは 人相手には無敵でしょうね 人を食べる人 人喰いのあなたには」
本当 今回は楽すぎたんだよ 君みたいな 可愛い女の子が 無抵抗に 無造作に 労なく僕に 食べられてくれたんだ ちょっとばっかり疑うべきだった。
「まあ もう手遅れなんだけれどね」
まあ いいよ 僕 もう 長いこと生き過ぎた そろそろ終わってもいい頃合いだよ。 最期に 君みたいに可愛くて美味しい女の子を 食べることができて よかった。
「ふふ ありがとう あなたの食べ方も とっても紳士的で 素敵だったわ。 じゃあ そろそろいいわね? イタダキマス」
彼女 猛烈な勢いで 僕の内側に可愛らしい牙を突き立てた。
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Comment
まさかキングコブラがヘビを生きたまま飲み込むと思ってんの?(笑)
あのな、奴の捕食方は「猛毒のある牙を獲物に突き刺して毒を注入して殺す」だからな。
おまけに毒の量は他の毒蛇とは比較にならないほどの量だし。
象でもコイツに噛まれたら一時間ぐらいで死ぬから。
あんたヘビのこと良く知ってから作り話作れよ。
こ、これが噂の中二病! ホンモノ(の痕跡)を見たのは初めてだ!