鳥辺野原のこと。(here and there #22)

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2006-09-25

僕の住んでる町の外れ 鳥辺野原と呼ばれています ただっ広い荒地がありまして。

ずっと昔からの長い事 聖地だとか禁足地だとかで近隣住人の立入りが禁じられていた土地でありましたが 近年 幾度か 農地として開墾しようとか 住宅地として開発しようとかの向きがあり けれども その都度何事かが起きて結局のところ手付かずの荒地のまま 現在にいたっております。

まあ アレです 農地になったところで ロクなものは収穫できなかったでしょうし 住宅地になったところで 誰も住む人 いなかったでしょう。

理由は説明できないけれど とにかく厭な雰囲気がする場所であるのです。 寂しくて虚しくて卑しくてなんにもなくて 黙っているだけで苛苛してくるような 何にも起きるはずないのに不吉な予感がムクムク膨らんでくるような。 禁足地とか聖地だったてのも そんな厭な土地を放っておく為の方便だったんでしょうよ。

さて そんな鳥辺野原について こんな話があります。

鳥辺野原のド真ん中 大きな古い 杉の木が一本 立っておりまして。

節くれだってゴツゴツの表皮には 斧を入れかけられた刃跡が其処彼処に残り 過去に幾度も切り倒されそうになったことを想起させ けれども結局は切り倒される事がなかったのにはそれなりの訳があり。

その一本杉を傷つけたりする人には その日のうちに不幸が起こる その一本杉を切り倒そうとする人は その日のうちに いなくなる 行方不明になる 神隠しにあったみたく キレイサッパリ消え失せて 二度と見なくなる それも 一切の例外なく。

今じゃあ誰も 手を触れようともしない 不幸不吉の最前線 その一本杉に関する 最近の噂。


『夜 あの一本杉の近くに行くと 自分以外の誰もいないはずなのに 声を掛けられる』


この噂は町のキッズどもの間を駆け巡り 鳥辺野原の一本杉は 絶好の肝試しスポット 根性試しスポットとなったのでありました ただし まだ日が昇っている間限定で。

まだ日の高い 明るい内だからこそ 肝試しなんてレジャーを楽しむ事が出来るのです 街灯などの一つもなくて 日が暮れ 暗く 真っ黒く ただでさえ不吉な鳥辺野原が さらに禍禍しくて凶凶しくなったのならば 突っ立ってるだけで さむけ おじけ おののけ おびえ そんなこんなが身体に沁みて 膝が笑って腰が砕け ひとときだって誰だって そんな鳥辺野原に居られる訳がありません。

が ここに つまらない賭けに負け つまらない賭けの代償に 『真夜中 一本杉の噂を確かめるべし』 だなんて とんでもない罰ゲームをする事になった男が一人。

日も沈んで夜もふけて 真っ暗くて真っ黒い鳥辺野原 懐中電灯のか細い灯りだけを頼りに彼 一本杉へと歩み寄り。

「おい… おい…! 誰も いないんだよ な …!」

おっかなびっくり声出して へっぴり腰に及び腰 いつでも逃げ出せる体勢を保ちつつ彼 自分の声への返事がない事に 一息安堵。

「ふん やっぱり噂は噂だ 誰もいないのに 声を掛けられる 訳がない! あはははは は」

だなんて彼 高笑っていたらですよ。


『コココココエコエエヲヲヲカヲヲカカケラララレラレルルル ワワケワケワワケケケガガガガナイイイイイイ アハハアアハハハハハアアハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!』


一本杉が 葉っぱ 枝 幹 全部を一切合財 揺らして震わせて 彼の真似して 声を発しました

『アアアハハアハハハハハハ アアアアルルルルワルケガガガガナナイナイナイナイイイイイイイイイ アハハハハアアハハハハハハハハハ!』

声真似はなおも続き 止む様子を見せず 彼 ビックリしすぎて声も出ず 腰も抜けて地面にへたり込み。

『ア ハハ ハハアア ハハ ハ ア ハ ハ  ア   ハ    』

やっと 止まった。

なんだったんだよ もう と 彼 一本杉に懐中電灯の明かりを当てて見上げると バサリ 羽音。

羽音? あ ああ 鳥が 一本杉の枝に鳥が 全ての枝に ミッシリ重なって 鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥


数え切れないほどの緑色の鳥が ああ あの鳥は インコだ

近頃 籠から逃げ出し野生化したインコが大繁殖しているらしく この町でもその姿が多く見られるようになったのだけれど ああ この一本杉が棲処だったのか

インコだったら声真似が上手 オウム返しは得意技。

きっと 『一本杉の近くで誰も居ないのに声を掛けられる』って噂も このことだったんだ 一本杉に棲んでるインコが 一斉に声真似をした それだけのことなんだよ。

『はは インコの癖に びっくりさせやがる』って彼 独り語ちようとしてビックリした。

声が出ない。

言葉が話せない。

一言も口が利けない。

パクパク口が開くだけで

どうしても声が言葉に紡がれない


『アハハハハハハ ハは だダダダ誰モもいなナナいのに 声ヲヲを掛けラララられルるルワわわけがない? 声を掛けられる 訳がない? あはははは 声でいいのなら 幾らでも 掛けてやるぞ 言葉を貰った お礼にな あはははははははははははは!!!!』

一本杉全体が震えるような インコの合唱 哄笑 大音声
 

それに追われるように逃げ帰った彼は この夜を境に 言葉を奪われ失ってしまいました。

彼は 知っておくべきだったのです

言葉をオウム返しする鳥の類 オウム インコ 九官鳥は いつの日か 誰かの言葉をオウム返しするだけじゃなく 自分の言葉で話したいと常 思いつづけているのです

だから 常々 誰か 自分に話しかけた人の言葉を 盗んでやろうと企んでいるのですよ。

とくに 夜は 空気が緩んでいるから 言葉を盗みやすい

それを知らずに彼 そうとは知らずに彼 インコの群になんか 夜だってのに 話しかけてしまって。 おかげで彼 彼の言葉を盗んだインコの群を一羽残らず捕まえなければ 言葉は戻ってこないでしょう。


夜 不用意にインコやオウム 九官鳥に話しかけるときは気をつけましょう 言葉を盗まれるときがある という話。
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