沼人村

近所の子供達は 僕の姿を見ると 『ポマード!』と三回叫びます。

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夜が奇妙な衣装を着た。

 小さい頃のことを思い出します。
 
 ふた昔以上も前のことです 未だ半ズボンのよく似合う半熟天使だった頃の僕のことです。
 
 その頃は友達もいて 毎日毎日楽しく遊び暮らしていたものですが 不満があるとすれば お小遣いの少なさ。 友達が駄菓子屋で豪勢な(それでも総額百円もしませんでしたが)買い物を楽しんでいるのを横目に 十円で一つだけ買った爪楊枝の先に付いたキナコ餅状の何かをゆっくり食べて 食べ終わったあとの爪楊枝をグニグニ噛み締め いいなあ いいなあ と うらやむのでありました。
 
 せめて 一日百円 いや 五十円でもいいです 僕にお小遣いを! ほかのみんなもソレくらい貰ってるんだから! という決死の交渉も 母の『他所は他所!ウチはウチ!』の一言でピシャリ。

 ああ ああ やりきれない 一日百円ぽっちのお小遣いも貰えない オラこんな家いやだ 飼い猫をリュックに詰めて 当所のない旅に出るだ。

 家を出たはいいモノの行く当てもなく 近所をウロウロさ迷い歩き ああ 結局はココに来ることになってしまうのだ 僕がよく独りで遊ぶときの穴場 僕の秘密基地的存在 寂れて朽ちゆく廃神社 神様のいない空っぽ神社 理由は知らないけれども周囲をフェンスで覆われて立ち入り禁止の禁足地。 偶々 フェンスが破れて穴が開き ちょっと広げてやると僕が通れるくらいの出入り口になることを発見して以来の 僕だけの場所。

 ここでしばらく時間を潰そう お母さんなんて 暗くなっても帰って来ない僕のことを心配してしまえばいいのだ 僕の懇願をないがしろにした報いを思い知らせてやるのだ 心配に心配を重ねて警察に捜索願を出す寸前の頃合を見計らって帰ってやるのだ そしたら 安心のあまり 僕にお小遣いの100円や200円くらい 喜んで呉れることでしょう。 (この頃の僕というのは当時の我が家の深刻な経済状況を理解できていなかったのでこのような安易な発想が出来たのでしょう。この時から半年ほどして両親は離婚して一家は離散しましたがソレはまた別のお話)

 いつの間にか日も暮れはじめ お堂に射す日も赤暗く かといって照らす灯りも持ってません。 それにしてもお腹が空いたなあ この場所にお菓子を隠しておいたのがいつの間にかグシャグシャに踏み潰されてて食べれないし 新しく何かを買って食べるにはお金がないし このまま家に帰るのも癪に障るし 猫はニャーニャーうるさいし お堂の外を誰かがグルグルグルグルグルグル歩き回っているし。 どれもこれも お母さんが僕にお小遣いを呉れない所為なのです。 せめて 一日百円 いいえ 五十円でもいいのです 五十円もあれば かなりの大金持ち生活ができます ああ 誰か僕に毎日五十円のお小遣いをくれないものでしょうか そしたら 僕 ■■■■をしてあげてもいいです 今は無理かもしれないけれども 僕が大きくなったら 必ず ■■■■■ることもやぶさかではありません ■■て■■■して■らしてでも 必ず■■ることを約束しますから だから 誰か ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


 はて。 僕は あの時 何をしてもいい と思っていたのでしょう なんか 大事なところが黒く塗り潰されてて 思い出せません。 以降の記憶が ふとりと途切れていて思い出せません 断絶しているのです。 あの時 一体 何が。 思い出さなくてはいけないような 思い出してはいけないような。

 なんで 小さいときの こんなことを思い出しているのかといいますと 僕 小さい頃 毎日 五十円玉を握り締めて 駄菓子屋で買い物をしていたなあ という 思い出がありまして。 でも よくよく考えてみると 当時の僕の家庭ってのは深刻な経済状況にあり 僕に毎日お小遣いを呉れる余力なんて無かったよなあ という結論に至り。 それなのに 毎日駄菓子屋で買い物できたのは何でだろう そもそも あの五十円玉は お母さんから貰っていたものじゃなかったよなあ。 じゃあ 誰から。 神様から。 神様から? うん 神様から 毎日50円貰っていました あの日のことをキッカケに 毎日。 僕の 思い出せないけれども 大事な大切な掛け替えのない取り返しのつかない何かを約束手形にして 僕が神様と思っていた何かから 貰っていた 様な気がします。 あの 立ち入り禁止の廃神社で。 

 たしか 僕が毎日50円玉を握り締めて駄菓子屋で豪遊する習慣は 両親の離婚をキッカケに僕が母方の実家のほうへ引き取られて引越しするまで続いたはずです。 僕 また縁あって 昔に住んでいた家に また住むことになり。 こんなことを不意に思い出したのは アレから20年以上も経った夜のこと ちょいと昔を懐かしみながらの 夜の散歩と自称した深夜徘徊の最中のことなのです。 

 そういえば あの 秘密基地のあった場所はどうなったのでしょう もう こんなに時間が経っているのですから 再開発の波にさらわれて何の変哲もない住宅地などになっているんでしょう などと思いつつ なんとなく足を向けた あの秘密基地のあった場所。

 うわ まだ あった。 記憶と寸分違わない 記憶よりも経年劣化で錆びれた分 より凄みが増したフエンスの壁 あの当時から一切手付かずのまま放置されたままの廃神社。

 あの 秘密の抜け穴があったところもそのままで アノ頃に比べて大部大きくなった身体を無理やり抜け穴にねじ込んで通り抜け お堂のあった場所へ。

 ああ さすがに 二十年も手が入ってないと 倒壊するよなあ 月明かりに照らされているのは かつてお堂だった残骸です。

 あのとき 僕が毎日貰っていた五十円というのは もしかしたら ここの賽銭箱から拝借していたものじゃなかったのか との推測をしていましたが よくよく思い出してみると あの当時から賽銭箱なんてものは無かった。 今 この場所に立って はっきり思い出しました。 じゃあ どこから あの五十円玉を貰っていたのだろう あれは あの場所で 何かをして。

 あの当時の自分のなりきって 足の向くまま ゆらりゆらり。 ああ ここの場所 注連縄を巻いていた木です 今は注連縄なんて巻いていないけれど 今みてみると 月の明かりでも解るほどの 何かを突き刺した後が残る さらには現在進行形で傷つけられた真新しい痕もあり ああ なんて呪わしい 神様不在のご神木。

 たしか この木の下で 手を叩き (パン パン) ゆすゆすと木を揺らす素振りをすると (ゆさゆさ) 五十円玉が 上から降ってきた という 記憶があります いや まさか そんな筈はないですよ そんな 非現実的な。 きっとコレは 僕の記憶違いですよ きっと記憶のすり替えです きっと 小さな頃の僕が毎日受けていた 近所に住んでいたかもしれないイタズラ和尚の性具的扱いに対する口止め料として毎日五十円玉をそっと手のひらに握らされていたことを思い出したくがないために捏造した記憶 というのがオチでしょうよ いや そんな真の記憶があったらもっと厭ですけれども 厭ですけれども。

 などと 愚にも付かないことを考えていると 上から 僕の頭に落ちてきたものがコツンと当たって地面に落ちて。 うわ なんか 落ちてきた。 ドングリかな?

 ドングリじゃないよ 月明かりに照らされて 白々と光って見えるのは 五十円玉ですよ。

 摘んで持ち上げてみると 変な手触り ソレもその筈 五十円玉の穴を通して 長い黒髪 何十本かの束で結ばれていて 僕の指に絡まっていて。

 ああ やっぱり 夢だの記憶の捏造だのじゃなく アレは本当のことで まだ 有効なのだなあ
    
 神様は 僕が神様だと思っていた何かは 僕と交わした 僕がもう忘れてしまった約束のことを まだ 忘れていないようです。

 

2009-06-18(Thu) | 未分類 | comment : 9 | Trackback : 0 | 

お百度参り。

 目の前 歩いてくる 熟年の女性は。 ベビーカーを押して ニコニコ顔の 彼女は 以前 見たことのある人です。 

 彼女の押してるベビーカーに乗ってるのは 当然 赤子でしょう 時々彼女 ガラガラを手に取り鳴らし あばばばば あばばばば と あやしているからには 赤子に違いないのでしょう あんなに にこやかに笑いかけて。

 顔見知りならば すれ違いざまにでも話しかければよいでしょう けれども 僕と彼女はお互い顔見知りというのではなく 僕が 一方的に彼女のことを見たことがある という程度であります あれはたしか 半年ほど前のことですよ。



 僕 冬になりかけの夜の冴え冴えとした空気を楽しみたくて深夜徘徊中 ちょっと遠くまで歩いた 見知らぬ神社の境内です じゃぎじゃぎと玉砂利を踏む感触が心地よく なんだか楽しくなっているとですよ 僕一人しかいないと思い込んでた神社の境内 僕以外の人の気配があります ぺたぺたぺたぺた 行ったり来たりする足音と ぶつぶつ呟く女の人の声です。

 すわ 丑の刻参りか と思いもしましたが 丑の刻参りにつきものの釘打つ音が聞こえません んじゃあ 何をしている人なのでしょう こんな夜中 神社なんかをウロウロしている輩は碌なものじゃありませんよ きっと。 ぺたぺたぺたぺた 足音がコチラに向かってきたので ちょいと小脇に退いて物陰隠れ こっそり様子を伺い見れば。

 小雪もちらつきそうな この寒空 見てるこっちが凍えそうなほどの薄着 冷え冷えとした参道の石畳の上を裸足で歩いてくる 熟年の女性です。 隠れている僕の前を通り過ぎ 本堂の方へ向かっていきます ああ これは 俗に云う お百度参りってヤツですな 心願成就の願掛けに 日に百度 参拝するってアレです。

 僕 こっそり彼女の後つけて 本堂近くまでご同行。 彼女 ぶつぶつぶつぶつ お祈りしてるのに聞き耳をたてますれば。

『……嫁が妊…… ……子を産みますように……  ……産まれますように……どうか どうか』

 ってなことが聞こえてきまして。 なあんだ 息子の嫁さんの出産の無事を願う願掛けか なんて嫁さん思いのお姑さんなんだろう と 思うわけもなく。

 息子の嫁の出産の無事を願うのなら なぜ 彼女 あんなに禍々しくて凶々しい 呪いと詛いで煮〆たような形相で お百度参りをしているのでしょう。

 もう少し近づき もっと聞き耳 たててみます。

『嫁の妊娠した子が 産まれてきますように 出来損ないで産まれて来ます様に 成り損ないで産まれて来ます様に 五体満足にはならないように それでも産まれて来ます様に どうか どうか。 嫁の膨れた胎の中に 夥しい数の蛙が蠢いていますように 嫁が 夥しい数の蛇の子を孕んでいますように 得体の知れない毛の塊 数多の眼球 骨無しで産まれますように どうか どうか』



 ええ そうです 僕の目の前 ベビーカーを押して歩いてくる 熟年の女性は あの時の彼女です 産まれてくる子の 自らの孫の 畸形を真面目に一心に願って呪っていた 彼女です。 

 そんな彼女が ベビーカーの中の赤子を 満面の笑みで あやしています。

 生まれる前に どんな理由か知らないけれども あんなに嫌って憎んで呪って詛っていた子のことを あんな笑顔で接することが出来るものなのでしょうか

 実際に産まれた孫をみたことで 情が移った 孫が可愛くて仕方がなくなった そういう理由での笑顔でしょうか。

 それとも 彼女が願い呪ったとおり 望みどおりの子が産まれたから の笑顔なのでしょうか。

 僕 ベビーカーの中を覗き込んで 赤子の様子を確認することなんて 出来ません 出来ません。

2009-05-17(Sun) | 未分類 | comment : 10 | Trackback : 0 | 

黄金体験。

「スカトロジーって分野があるわよねえ」

 と 彼女が云いました。 唐突に何を云い出すのですか。 まあ ありますね。 排泄系に関する性癖でしたっけ? なんか シェフ風の人がフライパンで人糞を熱してブランデーかなんかでボワッってフランベさせるビデオがある と 風の噂で聞いたことがあります。

「そんなビデオはしらないけれど。 で さ。 ある日 突然。 その日初めて会った見ず知らずの人によ 『コレはいいモノだから是非観なさい』って スカトロAVを押し売りされそうになったら あなたはどう思う? 勿論お断りよね。 興味のかけらもない 嫌悪を催す分野のモノを 『買って絶対後悔しないから 買わないと将来的に損だから 買わないと人生間違ってるから』 なんて押し付けられるのって 馬鹿げてるし迷惑以外の何物でもないでしょう? それと同じことなのです」

 同じこと? 何と何がです?

「私はこの理屈で 今まで 様々な誘いを退けてきました。 セールス 政治 宗教 諸々の迷惑な勧誘行為を。 『ソレとコレとは話が違う』なんて云ってきても知りません。 あんたなんか 見たくもないスカトロAVを無理やり押し売りしてくるようなヤツと同じなのよ この外道スカトロジストめ! って云ってやれば 大抵のヤツは黙るわね。 あんたも きっと 黙るに違いないわ」

 僕もですか?

「そう。 あんたの 押し付けがましい好意ってやつは 私にとって 同じこと。 見たくもないスカトロAVを一緒に観ようって押し付けてくる変態的行為と同じなのよ こうまで云ったら理解できるわよね それとも あんた 真性のスカトロジスト って 私に罵られたいわけ?」

 あなたに罵られることも スカトロAVも あなたのことも 同じくらいに大好きです! って 満面の笑みで云ったら 彼女 どんな顔をするのかなあ。

2009-04-04(Sat) | 未分類 | comment : 9 | Trackback : 0 | 

その一撃を身に受けたものは死ぬ。

ミドリさんは 僕の親類の娘さんで 今はちょいとした病でサナトリウム中でありまして。

「それにしても なんなの これ。 食べ物? 鉱物? なんでクッキーがこんな硬さなの? かじった瞬間 歯が欠けるかと思ったじゃない」

お見舞いに持っていった 僕の手作りクッキーが大不評なのです。 おかしいなあ 普通に小麦粉を練ったはずなんだけれども

「小麦粉がどんなケミストリーしたら こんな硬さになるのよ それに すごく重いし。 この大きさでこの重量感って なんなの? 鈍器なの? 頭部をこれで殴ったら殺せるの? 私を殺すつもりなの?」

ぐむぅ。 ミドリさんの身体と心に良さげなモノを色々と混ぜたのが 裏目に出たようですね。

「あんた 私に何を食べさせようとしたのよ。 それにしても ホントに硬い こんな硬さのモノ 私は知らないわ… いえ 一つだけ知ってる。 この硬さは 魔鉱石<ルシファリウム>にも匹敵するわね」

!!!!!ッッッ えっと ミドリさん よく聞こえなかったんですが なんですか? ルシなんとか と聞こえた気がしましたが 僕の空耳ですよねえ

「聞こえなかったってんなら もう一度云おうか? 永く生きた魔族の体内に少量だけ蓄積されているという生きた金属 ルシファリウム。 黒い光を発するその金属は何物よりも硬く強い。 ルシファリウムで鍛えた武具は全てを切り裂き 防具はあらゆる攻撃を寄せ付けない。 しかし その邪悪な意志を持つ金属で出来た武器防具は 血肉を喰らう 命を飲み込む 魂を砕く 心を蝕む。 敵は勿論のこと その使い手のモノすらも」

……ッ! どこ で そのことを?

「魔剣士ケイオス だったっけ? 自分以外の家族を皆殺され その仇を討つため魔と契約し ルシファリウムで鍛えた魔剣・凶運と魔鎧・骨喰を身に纏った剣士。 呪われた装備で無敵の存在となったが身体と心を蝕まれ感情をなくしつつある ふふふ。 こんなことを なんの臆面もなく 大真面目に つたないイラスト付きで キャラクターシートに 書き面連ねていたんですね 佐々木(仮名)さんは」

ぎゃああああああ! 何処で 何処でソレを見たんです?! 処分したはずなのに! 一切合財燃やしたはずなのに!

「こないだ 佐々木(仮名)さんが貸してくれた古本に 畳まれた状態で挟まってたよ ふふ それにしても ルシファリウムって あんまりじゃない? あと いったん書いて消したんだとおもうんだけど 筆圧強くてなんて書いたかわかるのよね なんなの ルシファルコンって。 ルシファルコンとルシファリウムの二択だったの? オリハルコンのパクリなの? 結局良いと思ったほうがルシファリウムなの?」

う あ ああ! そうだ! 思い出しました! アレは昔の知り合いから貰った本なんですよ! なんだ そんな紙が挟まっていたなんて 全然気付かなかったなあ そ その何か訳の判らないことを書いている紙は 僕のモノじゃないです そうです 困るなあ ヤマダのヤツ こんな紙を挟んだままにしておくなんて 参った参った

「でも こんな特徴的な筆跡 佐々木(仮名)さんの字にそっくりで」

ごめん ミドリさん それ以上 何か云われたら 僕 死んでしまいます。

2009-03-08(Sun) | 未分類 | comment : 4 | Trackback : 0 | 

$10の猟犬。

「では やはり この方は」

はい 僕の双子の兄で間違いないと思います。 ほら この左手の薬指が欠けているのが その証拠です まだ小さかった時に 僕と兄の区別がつくように 母がハサミで切り落としたんです 僕は小指を切り落とされました。

「なるほど。 いや それにしても 判り易い特徴があって助かりました なにせ 足りないパーツも数多い この状態では あなたのお兄さんと判別するには相当の時間がかかったでしょうから」

まったく。 死ぬときくらい 迷惑をかけないでほしいものです。 それにしても 兄は何故このようなことに?

「事故 自殺 他殺 と様々な面から捜査していますが 俗に云う密室状態 さらに状況が奇妙奇天烈すぎて 今の時点ではなんとも。 ええっと あなたのお兄さんですが 誰かとトラブルを起こしていたり 怨まれていたりとか そういうことはありましたか?」

誰かとのトラブルなんて日常茶飯事 人から怨まれる理由に事欠かない 最低と最悪の掛け合わせみたいな男でしたよ兄は。 けれども何度殺しても殺しきれないような 悪い意味で生命力のある男でしたから こうして死んでしまっただなんて 正直信じ切れないところもあります。

「それにしても 部屋の内側から隙間もないほどモルタルを塗るなんて 何がしたかったんでしょうねえ 先日の大地震でこのアパートが倒壊寸前になっていなきゃ 発見すらされていなかったでしょう」

さあ 兄の考えることは 昔から理解の出来ないことばかりでしたから。 こないだも急に電話をかけてきて およそ940円で犬がどうとか 訳の判らないことを ベラベラ早口で捲くし立ててきて 僕 あんまりの兄の身勝手さに腹が立って電話を叩き切って その後一切電話に出ませんでしたから。 今思えば それが兄との最後の会話だったんですなあ

「犬?その時のことを 少々詳しくお聞かせ願えますか」

え そんな大した中身のない話でしたよ およそ940円の犬から逃げなければならない とか 首の無い猟犬は咬みつくことが出来るのか とか 部屋の隅から見てる とか 支離滅裂なことを。 それが何か?

「いえ ね。 このように バラバラのボロボロのドロドロにされた遺体の断面 何かの動物に噛まれて食い千切られた そのような痕に見えませんか? 例えば 犬とか」

や まさか。 だったら このモルタルで塗り篭められた部屋の中に 犬がいた形跡ってのがあるものでしょう? 兄をこんな状態にするには 一匹二匹の犬じゃあ無理です 群れ単位の犬がいなけりゃ 。 そんな数の犬がいた跡なんて ないでしょう? それに 犬に襲われたんなら 兄の遺体がこんな粘液まみれになってる理由が判らない。 その犬がウナギ犬だってんなら話は別ですが

「いえ ちょっと 気になったものですから。 ところで およそ940円 とおっしゃいましたが 随分と中途半端な金額では?」

ああ 日本円に換算したら その位ってことですよ。 兄が云ってたのは 米国ドルでその位の金額の猟犬 ってことです。 なんだっけか えっと たしか テンダラーズの猟犬とか そんな。

「さっぱり意味がわかりませんね」

ええ まったくです。 

2009-02-23(Mon) | 未分類 | comment : 4 | Trackback : 0 | 

見殺しにされた理由。

僕 得意げな顔なんざして 彼女に一芸披露。

「見て! 題して『独白するユニバーサル横メルカトル』!」

なんて 搗き立ての餅一升を細く伸ばしたのを チュッチュチュッチュと一気に啜り呑み。

けれども途中で痞えて 喉が詰まって苦しんで 今まで呑み込んでた餅を逆再生みたく吐き出したけれど間に合わなくて そのまま倒れて震えて動かなくなるまでを 表情一つ変えずに 身動き一つせずに 彼女。

最初ッから最期まで 彼女が僕に浴びせ続けていた冷たい視線が 僕にとって何よりのご褒美かつ冥土の土産。


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2009-02-06(Fri) | 未分類 | comment : 5 | Trackback : 0 | 

どうなんだろう。

 僕の知人であるところのチアキさんは 相変わらず所有欲ってのが欠落していて オンボロアパートの独り住まい あるのは最低限の食器と小さな箪笥 センベイ布団だけ という年頃の女性にあるまじき生活をしています。 けれども最近の寒さには流石に堪えたらしく どこからかポンコツ寸前のコタツを貰ってきてそれで暖をとっているそうです もちろんコタツ布団なんてものがないから 一つしかないセンベイ布団をコタツに無理敷いて それで寝起きしているという なんともはや 折角の綺麗な容姿が台無しです。

「別にいいじゃないですか これはこれで機能的なのですよ」

 と チアキさん コタツの上に積まれた大量のマンガ本 ちょいと除けて 僕の顔が見えるようにスペースを作りました。

 チアキさん このマンガ本 一体どうしたんです?

「コタツと一緒に譲ってもらったんです。 街道脇でラーメン屋をやってた知り合いが店を畳むってことで 店に置いてた 捨てるも同然のマンガを」

 ああ どうりで ソレ系のラインナップですね。 セニョール・パ とか 喧嘩ラーメン とか 静かなるドン とか 小池一夫系のとか

「スープとか油の汚れがひどくて 古本屋さんにも引き取ってもらえなかったからってことで 読み終わったらリサイクルゴミの日に出そうと思いますが これ系のマンガ 今まで読んだことありませんでしたが なかなか面白いですよ いい暇つぶしになります」

 いや そんなマンガを読むより もっと有意義な時間のすごし方をしたほうがいいと思いますよ もっと世間の流れとか そんなのにちょっとは敏感になるべきかと

「あら この私をなんと心得ます この町内一の事情通と近所の奥様方に云われ この界隈の裏道抜け道に詳しいと近くの野良猫達にも有名 美味しいパンの耳をくれるパン屋さんや美味しいオカラを譲ってくれる豆腐屋さんなどのグルメ情報はお手の物 の私ですよ? 昨今の世情の一つや二つ 知らない訳が ねえ?」

 んじゃあ 最近 一番気になったニュース的なもの なんです?

「そりゃ えっと あれですよ。 みのもんた。 おもいッきりなんとかテレビを降板するそうじゃないですか。 そして その後を中山秀征が継ぐようじゃないですか その名も『おもいッきりDON!』とかいう番組名に変えて。 これは ちょっとしたスペクタクルですよ」

 え なんでです?

「中山秀征で 『おもいッきりDON!』ですよ? これは 私が思うに。 今のところ私しか気付いていないかもしれませんが…… 静かなるドン つながりで こんな番組名なんじゃないですかねえ? おっと この情報は誰にも内緒ですよ!」

 ごめん 誰かに云おうにも まったく興味もないし そんな情報いらないし もし それが本当だとしても 中山秀征が実写版静かなるドンの主役だったの憶えてる人に向けてのそんな番組名なら 誰に向けてのお昼の情報番組なのかわからないし。

2009-01-14(Wed) | 未分類 | comment : 1 | Trackback : 0 | 

『心理テストです』と彼女は云い。

 あなたの中には かつて世界を破滅に陥れようとした魔人の魂が封印されています。
 その魔人の復活を望む闇の勢力と滅殺を望む光の勢力の争いにあなたは巻き込まれました。
 その両方の勢力が望むものは あなた自身の死 です。 (魔人の魂を解放するにせよ滅するにせよ あなたが死ななければならないのです)
 訳も判らず追い込まれ 逃げ道もなく 絶体絶命の危機。 刺客の刃が目前に迫ったその刹那 あなたの魂の奥底から 『声』が聞こえます。

『チカラが欲しいか ならば 貴様の大切なモノと引き換えに くれてやろう』

Q1 あなたは 何と引き換えに 力を望みましたか?


 声の正体は あなたに封印されていた魔人の魂でした。 魔人の魂は あなたの内より 武器という形で顕現しました。


Q2 その武器は どのような形状をしていますか? イラストで説明してください。


Q3 その武器には あなたが望む特殊能力が付加されています。 また潜在能力としてあなた自身の性格や本性を反映したチカラが秘められています。 それらは どのような内容ですか?


 魔人の魂が具現化した武器のチカラで危機を乗り越えることが出来たあなた。 あなたと魔人の魂の結びつきをより強める為に あなたの武器に名前をつけなければいけません。


Q4 あなたは その武器に なんと名前をつけますか?



 あなたと魔人の魂を巡っての光と闇の争いは まだ始まったばかりだ! あなたにチカラを与えた魔人の思惑とは……ッ そして突如現れた 宿命のライバルの存在…… 全ては謎のまま 次回に!



 続くんですか?

「続くわけないじゃない。 さあ 真面目に書いて答えなさい これは心理テストなのよ あ 書き終わったらコッチに渡して」

 ええっと じゃあ こんな感じでいいんですかね。 はい どうぞ。 これで 僕のどんな心理がわかるのです?

「さあ?」

 さあ って?!

「このQ2の武器イラストでバウムテストの応用が出来るかもしれないけれど 別に私 あんたの心理なんて判りたくもないし」

 んじゃあ 何の為にこんなことを

「や だってねえ いい歳をした大の大人がよ? こんな中学生的なことを真面目に ふふ 書いてるのが 面白い。 ユニーク。 ええっと 何と引き換えにチカラを得ましたか? 答え。 『愛情』 うわッ…… このイラストも 酷い 酷すぎる なんでこんな剣の持ち手に近いところに棘があるのよ しかもその棘に猛毒って そんなの握ってるほうが危ないじゃない なんなの この猛毒 最後の武器なの? それにこんな装飾過多なの? 説明書きによれば『漆黒の刀身には禍々しいルーンが刻まれている』とか何? ストームブリンガーなの? なのに猛毒なの?」

 うわあ か 返して! 返してくださいよう!

「特殊能力 ふふ 斬りつけられた敵は肉体を刃に蝕まれるって喰われる何? 敵の能力を己のものと出来るってことなの? 強殖装甲ガイバーでいうところのアプトム見たいなヤツなの? そして 武器の名前は 黒吼刃<ブラック・ハウリング>? うわっはははは 最高 あんた 最高 ふふふふ」

 ああ 僕はもう 僕を殺すか 彼女を殺すかの 二択しか選べない

2009-01-12(Mon) | 未分類 | comment : 9 | Trackback : 0 | 

今年描いた年賀状 打ち止め。

てな訳で ご応募頂いた皆様 ありがとうございました。

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2009-01-03(Sat) | 未分類 | comment : 3 | Trackback : 0 | 

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Author:佐々木(  )
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